客観
牛丼だとかカレーだとかを食べる。かき込もうとするとスプーンから押し出された米が口の端に付く。それが嫌だから口を大きく開けて食べる。今俺はどんな顔してんだろう。
街を歩く。地下鉄の駅に向かう。階段を降りる。俺の階段の降り方って変じゃないかな。
ペットボトルのジュースを買う。フタを開ける。飲み口に口をつけてボトルを傾ける。口ってどれぐらい付けるもんなんだ。フタ持ってる手ってどうしとけばいいんだろ。
自分が周りからどんな風に見えているのかめちゃくちゃ気になる。キモくないようにキモくないように気をつけている。
食べ方とか歩き方とか、鏡で確認しようのないときの自分の様子が、どう見えているのか分からなすぎて恐怖に震えている。
そこまで深刻な鈍感でもないので、二十年ぐらい生きていれば、自分がそんなに良く見られていないことぐらい分かる。それでも回避できるキモさは回避したいのだ。
人のふり見て我がふり直せ的行動をとることがしばしばある。
猫背の人がいて、ちょっと変に見えるなと失礼なことを思いながら、俺はああはなりたくないなとさらに失礼なことを思った。
もともと姿勢はそれほど悪くないが、以前より意識して背筋を伸ばすようにした。
すると同級生の一人が「なんで反ってるの?」と言ってきた。
自分じゃ自分の見た目なんて分からんね。
動画でも撮るか。俺の1日の動画。