日記まがい

変わったことがあれば書きます

引っ越し

    四月から住んでいた寮を出て、大学の近くへ引っ越した。寮がいちばん近いんじゃないの、と思ったら大間違いで全然そんなことはなく、通学に1時間ぐらいかかるし、その1時間ぐらいかかるシャトルバスは平日しか運行しておらず、土日に用事があれば往復で1000円弱払ってモノレールに乗る必要がある。

    文学部のあるキャンパスとは、別のキャンパスの寮に住んでいたのだ。応募者多数のため抽選が行われ、もっとも文学部から遠い寮のきっぷを引き当てた私は、一人も同じ学部の学生がいない小汚い寮の中で、日々小汚い共用の台所で夕食をとり、小汚い大浴場で体を洗い、小汚いパジャマを着て小汚い布団に入り、小汚い夢を見て、小汚いカーテンの隙間から差し込む小汚い日差しとともに小汚い朝を迎えていた。

    別に大規模な実験をするような学部はないのに、大自然の中に建っている。大学の中ではその学部の女子学生のことを「キラキラJD」と呼んだりしている者が一定数いるが、あんなところに輝きなど無い。

    猿と、マムシと、イノシシが出たらしく、注意喚起の張り紙がされていた。近くの川に行けばホタルでも出そうなほど緑色のキャンパスライフ。そういう意味ではキラキラしているのか?

    そんな事ばかりひとりぼっちの部屋でブツブツ唱えていたら、なんだか最悪な気分になってしまい、何もやる気が起きなくなった。それ以前にはやる気があったのかと聞かれれば、耳をふさぐしかないのだけれども、ここから抜け出さないと何にもできないような予感があって、どうにかしないとと思った。

    はじめての一般的な意味での一人暮らしは、失敗の連続というほどでもないが、あんまり上手くはいっていない。契約しないといけないことがたくさんあって、電話口でよく分からないことを繰り返し言われて頭がボーっとする。ああいうのって、先に書面とかに分かりやすく書いて渡してくれたりしないのか。何がなんだか分からない。たぶん家族に迷惑かけてる。

    辺鄙なところに住んでいたせいで引っ越し業者が道に迷って、1〜2時間ぐらい引っ越しが遅れた。家財道具を買いに行くのも部屋を片付けるのも次の日に持ち越すことにしたし、ガスの開栓を頼むことを知ったのがちょうどガス会社の受付終了の時刻だったので、風呂は電気ケトルで代用したりした。ちょっとぐらいまけてくれてもいいのにな。きっちり額面通り持っていかれたし、あんまり謝られなかった。

    ただ、引っ越しが終わった後、今のところはサイコーである。門も柵も何も無いので、深夜だろうが早朝だろうが好きな時にコンビニに行けるし、自転車に乗れば十数分の距離に文学部のあるキャンパスだ。室内にシャワーもトイレもあるので、わざわざ厚着をして風呂に入りに行く必要はない。今まで抱えていた悩みの大半が一気に解消されて、なんだかやる気も起きてきた。引っ越しバンザイ。

   

    例のキャンパスだが、やはり立地に問題があったのか、私の在学中に移転することが決まっているらしい。寮はどうなるのか、というのは追って連絡するとかなんとか言っていたが、たぶん、ギリギリまで何も言わないと思う。研究のレベルとかは分からないけど、そういう契約とか、外に向けた対応が、あんまりちゃんとしていない大学である。俺たちちょっと似てるかもな。(肩を組む)