祝!入学。
ある友達からラインが届いた。
春から大学生になると書いてあった。関西にある大学に行くらしく、私の住む町からも数時間で通じている。
これからは以前のように遊んだりできる。近所に全然知り合いがいないので、私にとっても吉報だった。
つもる話もあったので、そのままラインを続けた。
大学に入ってから起こったいろんなことを話した。目標も無しに文学部を選んでしまったこと、あまり成績が良くないということ、本がたくさん積んであるが、読みもせずに遊んでばかりいるということ……。
途中から自分で怖くなってきた。話しているうちに意味が分かってくることがよくある。私はダメ学生だったのか。
(こいつもこんな風になってしまうのか?)(かわいそうだ!!)
友達が私と同じ道を辿って行く様子を黙って見ていてはならない。犯罪者と同じ性質の正義感が、私を駆り立てる。
「レポートごっこしようか。趣味で。」
レポート制作は、大学に入ってからも役に立つスキルであるし、調査の過程でさまざまな分野の知識を得ることができる。
私にとっても相手にとっても良いアイデアだと思った。
そういうわけで話がまとまり、私たちは全然興味のない分野である、「日本の南北朝時代の美術」について調べることになった。
美術史の分厚い本を図書館で借りる。彼がまだ引っ越していないと言う。大学の図書館以外で得づらい情報なので、先延ばしになる。
仕方ないので小説に関するレポートを書くことになった。お互いに日本文学に興味があり、専攻もおそらくその分野である。彼がまだ読んでいなくて興味のある小説について、レポートを書くことになった。
「三島由紀夫全集」の1つを借りる。旧字体が多い。2月が28日で終わって驚く。お互いにレポートが終わらないと告白しあう。
焦りすぎたね。大学に入ってからにしようか。じゃあマインクラフトでもしておこうか。
大丈夫だよ。大丈夫。
世界は、1つの輪の上を走る。